写真から目が離せませんでした。遠い国のやせ細った子ども達‥目の前で肉親を殺され、腕を切り落とされた子どものうつろな瞳・・戦争を知らない私であっても、日々、目にする報道は、子ども達を追い詰める、とどまることを知らない世界の残酷さが伝わってきます。

戦争のもたらした大きな苦しみ、悲しみ、いのちを無残に奪い去る狂気・・。もう2度と繰り返さないようにと心から願った平和憲法を、戦争のできる国にするために何食わぬ顔で、きれいな言葉を連ね続ける国の長達・・大国が己の利益のみを考えて、逃げ惑う人たちにボタン一つで、ゲームのように遠い場所から吹き飛ばす無残さをも、反論もしないばかりか、考えることも放棄したかのように、付き従う情けなさ・・。

一つ一つのかけがえのないいのちを、どうして思うことが出来ないのだろう・・。愛しいものを奪い去るのが戦争で・どうしてそこを向かっていく愚かさを止めることが出来ないのだろう・・。この母達の哀しみをどうしてわからないのだろう・・と思った時の絵です。

そして描いている途中に ”あ、どこかでこの気持ちに出会っていた”と思いました。それは、50年余り前に見た数枚の版画でした。

長い戦争で、子と孫をなくしたドイツの一人の母ケーテ・コルビッツの手になる数枚の白黒の版画は、あまりにも重く,辛くて・・記憶の向こう側に置いていたのでした・・が、悲痛な叫びが痛いほどにあらわされていたその版画を、今、若い時より、もっと、もっと身近なものとして思い起こしています。

遠い日の衝撃を思いつつ・・想いを表現したい・・何かできることをしたい・・と、ノロノロとながら、長い間、迷って探し続けていた根っこの一つに出会った気がしました。