その日は いつか (希望のもしも)

もしも あの日がなかったら  

山も野原も 緑湧き立ち 海は青く群れなす魚が跳ねていた

もしも あの日がなかったら 

      野原の牛や馬たちも おなか一杯草をはみ

青い空に白い雲、花達は優しい風に揺れていた

もしも あの日がなかったら

キラキラ瞳の子ども達が チョウやバッタを追いかけて

つやつやほっぺに頬寄せて、じいじとばあばは 孫を抱いてた

 春 夏 秋 冬 季節は それぞれ あふれんばかり

          豊かに寄り添い包んでくれてた

けれど あの日は 起きてしまった

   どうしてなのか わからないまま・・ 誰にも 何にも 出来ないままに・・

優しい瞳の動物たちや 赤いほっぺの子ども達

 いったい どこへいったのだろう・・ ?

 奪われまいと かき抱いても  

見えないものから どしたら 守れる・・ ?

 戻ってこない 大切なもの・・ 消えてしまった かけがえない日々・・

いったい何を 追いかけたのか・・ あの日のもしもを選んでしまった・・

私たちは いつまで 目をつぶるのだろう

    先をも見ずに 果てなく奪い いきものたちを追いつめたまま

       差し出すちいさな器の中に 何を入れてやれるのだろう

いつまで 耳をふさぐのだろう

戦禍の中にさまよう鳥たち

冷たい手足を抱きしめて 声にならない母達の声

いったいどこを 目指せるだろう

いのちさえも 見失い 鉛のような哀しみは

しあわせ求める小さな背中に

 静かに重く降り積もる

も1度 皆で選べぬだろうか     

悲しい もしもが あるならば 

嬉しい もしもも きっとある

どんないのちも 損なわれない 

明日へつなげる 希望のもしも    そんな もしも を 見つけられたら・・

青く断ち切る 天の火も・・ 赤く焼かれる 地上の炎も 

 脅かすものなど まっぴらだ・・

なすすべもなく 握るこぶしも・・飢えて震える おびえた瞳も

もう たくさんだ 悲しみは ・・  

  そしたら いのちは どんなに喜ぶ・・

どうぶつ達は 飛び跳ねて 鳥は羽ばたき 樹々は揺れる

そしたら そしたら 子ども達は 自由に野山を 駆け回る

         草に寝ころび 陽ざしの中で 大きな口開け 笑い転げる

         ただひたすらに 楽しくって

  山も川も 歌うだろう                      

季節の巡りを讃えながら それぞれ違う音色を奏でる 

   海も 優しくうねるだろう 億千万年続けたように

私たちの こころは焦がれる

もうこれ以上  大地を奪うこともなく 海を 汚すこともなく

あらゆるいのちが  そのままに 生きゆくその日を 手渡したい

              ほんとのたからを 手渡したい

も1度 みんなで漕ぎ出せないか

逆巻く波に おののきながらも 滲む眼を 拭いながらも

遥かな岸辺へ 船を出す

届かぬ深みに消えそうな 希望の言葉を取り戻すため

       明日へ漕ぎゆく 船を出す

すべてのものが ひたすら紡ぐ

いのちこそ を 目印として

見えない彼方を 見つめ続ける

見えないその日を あきらめない

希望のもしもは きっと・・ ある