我が家のシンボルツリーともいえる枝垂桜が 枯れた・・? 能登のこの地を永住の場所と決めて、父が設計をして、夫が溝を掘り、皆でヨイトマケをして 末っ子の耕二郎が生まれたその年、ここに越してきて、次の年に細い親指くらいの太さのこの枝垂れ桜を植えたのだった
それから37年 この樹は グングン太っていった。 春には滝のような花を風になびかせ続けてくれた。 花が終わるころは庭一面 雪のように花弁が敷き詰めてくれた。そこで ことある度に集まり、お茶を飲み、樹の下で笑いあった。 度々の家族展も見守っていてくれた。 今年はもう咲いた? いつが見ごろ? 知る人たちの合言葉だった。
原因がわからない・・2,3年前から 葉っぱに勢いがないな――と思っていて、でも今年も遅いながらもいっぱいの花をつけてくれた・・。そうして・・遅れて開くはずの葉っぱがほとんどなかった。 そうしてそのわずかな葉っぱも茶色く枯れていった。 木をよく知る人に相談もし、活性剤も撒いたりし続けたのだけれど・・1枚の葉っぱも残ってはいない・・
毎日のように 今日はよみがえってくれないかと、願いながら目を開いても どうにもならない淋しさが募るばかり 如何に中心の樹でいてくれたのか、欲を言えばきりがないのだけれど・・・・・三春の舘桜のように1000年、時を越えて・・・私も」 その下で眠りたいと決めていたのだった・・18年生きてくれた、コーギーもどき白い毛のふさふさしたのムクも、この樹の枯れ始めたと同じころ逝った25年生きてくれた猫のチロも・・皆近くで眠っている。 緑の庭にそこだけ、褐色の色のその樹が 奇跡のように葉っぱを茂らせてくれないか・・と今日も願いながら見上げている。