やまぼうし

カンパニュラ

久しぶりの雨に 去年より花は少なめですが、ヤマボウシの季節です。
カンパニュラは 毎年玄関の定位置に・・・
甘く香るスイカズラの白い花がつぼみを膨らませています。
これは 母の思い出の花です。
9年前の5月 火事で、実家とすべてがなくなってしまって
残っていたのは 蔵の太い梁(はり)1本と、納屋の傍らのスイカズラだけでした。
夫に頼んで 焼け残ったその欅の梁で母の思い出に彫刻を彫ってもらいました。
出来上がったのは、フランチェスコの像でした。
今日は 父の命日で、朝から何となくシーンと心に音がしています。
27年前父が 転落事故で脊髄損傷となり、身動きならない体となってしまいました。
最初は毎週泊まり込みで病院に通ったのですが、4人の子供が小さいこともあって
ほとんど母に 病院の泊まり込みを任せてしまいました。
いまでも なんと 親不孝だったこと・・と 恥ずかしくてなりません。
2年もの長い間、ベッドで身動きならないままに 父は逝ってしまいました。
最後の時、母と交代して、父の手を握りながら「大好きだよ・・」と話しているうちに
父はじっと娘の顔を刻み込むようにしながら旅立ちました。65歳でした。
母が久しぶりに、ほんの一時、家に帰った時間・・
本当は母がもらえた時間なのに、いつまでも済まなさが残りました。
「千の風になって」と書いたキルトの上・笑う2人の写真の前で 花と蠟燭が揺れています。
年を取って、父と母の年になればなるほど、どれだけ包まれ続けていたのか
思いはますます強くなってゆくばかりなのです
千の風も・・万の風も・・・・無限の風となって
見守り・心配し・・幸せであってくれることを ただ願い続けて
自分のことより、ひたすら子が幸いであれと傍らにいてくれた両親のおかげで
人の想いや、自然のやさしさをも、素直に受け取り、信じられる娘になれたようなきがします
考え足らずの、若い走り回る日々に、ゆっくり考えられなかった根っこを
この頃、しきりに思うことが増えてきました。
父と母の娘でよかった・・・
若葉の香り立つ空の高みへと・・
想いはどこまでも渡る風に乗って、つながってくれているような気がしました。